従業員から聞きたくないセリフ
日々の社長業、本当にお疲れ様です。
「社長、お話があるのですが…」
従業員からこのセリフを聞くとドキッとしてしまうのは私だけでしょうか?
会社の規模がさほど大きくない社長さんですと、面接から採用そして退職まで社長自身がやられているところも多いと思います。すると会社を辞めたいという従業員からの話も社長自身が聞くことになるでしょう。そして退職希望の従業員からの第一声は、ほぼほぼ冒頭のセリフではないでしょうか。このセリフを聞くと、心が重くなりできることなら話をしたくないですよね。ましてやベテランスタッフなど会社にとってとても有益な従業員なら尚更です。
でもそういう訳にもいかず、早速話を聞いてみるとやはり、、、
「会社を辞めたいのですが…」
辛い瞬間です。
私は当時、どんな従業員でも退職希望の話を聞くのは本当に辛かったです。たとえ入社したばかりの従業員でも。何かのご縁で我が社に入社したからにはやはり長く勤めてほしいと願うものです。
辞めたい理由はさまざま
従業員から退職希望の話があった時、多分ほとんどの社長はまず辞めたい理由を質問する思います。
すると、
「他にやりたい仕事が見つかった」
「この給料ではやっていけなくなってしまった」
「親の介護をしなくてはならなくなった」
「結婚することになった」
「体調が良くない」
「上司や同僚とうまくやっていく自信がない」
など、退職理由はさまざまだと思います。
社長歴がまだ浅かったころ、私は辞めてほしくない一心で必死に止めて続けてもらったことも数多くありました。例えば人間関係の問題であれば担当部署を変えたり、勤務時間の問題があれば契約時間を変更したり、どうしても辞めてほしくない場合は給与を上げたりするというとんでもないケースもありました。しかし特に人員不足の時などはこちらも必死になってしまいます。
必死に止めた結果、「じゃ、続けてみます」となっても、いずれまた「やっぱり辞めたい」と申し出てくるケースが多かった経験を重ねてから、退職希望が出た時には、心を落ち着かせ穏やかに“辞めたい本当の理由”を聞き出すことに徹するようにしました。
辞めたい本音を聞き出すことで退職者を減らす
前述したような”辞めたい理由”を聞いたのに、なぜ”本当の理由”を聴こうとするのかは、私の経験上、最初に言ってきた理由は意外と建前が多かったからです。特に「他にやりたい仕事が見つかった」と言ってきた従業員に多かったように思います。この理由を言ってきた従業員と色々と話をすると本当の理由が出てくるケースがとても多かったです。もちろん他の理由の方でも”本当の理由”は違うケースもありました。

では実際どのようにして本音を聞き出すかですが、まずある程度退職についての話を聞いたら「本当に残念だけどわかりました」と退職希望を了承します。すると、話を切り出すのに緊張していた従業員も心の中で(承諾してくれた~)とホッとします。
そこから社長は飾らず聞いてみて下さい。
「これからの従業員のためにも、うちの会社で何か至らない点はありましたか?」
「他に何か”辞めたい”と思う出来事はありましたか?」
などと優しく質問してみて下さい。
辞めたいと思っている従業員へ本当の理由を聞き出すときに大切なのは、問いただすようにするのではなく寄り添うように問いかけ、耳を傾ける姿勢をとることです。
すると、実は「上司からいじめを受けていた」「社長の知らないところでサービス残業をさせられていた」「社内風土が合わない、社内ルールで納得いかない部分がある」など、会社や上司に対する不満が出てくることがあります。しかも、社長が知らないところで起きていたことや、社長が良かれと思ってやっていたことに不満があったり、驚くべき事実が発見される場合があるのです。
いくら辞めることになった従業員とはいえ、本当のことを話すのには勇気が要ります。思い切って話してくれたことに感謝し、もっとよく耳を傾けて聞き出していくと多くの問題点を提示してくれることもあります。この問題点は我が社にとっての財産です。
本音で話してくれた問題点を改善することで、今後退職者を抑えることも可能になります。
また、本音を語ってくれた退職希望者も最後に社長が事実を聞いてくれたことに感謝し、退職日まできちんと仕事をこなしてくれるでしょうし、退職後、会社を悪く言ったりしないでしょう。
会社を辞めるというネガティブな話も、社長の気持ちの持ち方ひとつでポジティブな話に変わっていくものです。是非、お試し下さい。
従業員がすぐに辞めてしまう会社、辞める理由がよく分からない社長さんの参考になっていただけたら幸いです。
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